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現代演劇を更新し続ける演劇作家・藤田貴大(マームとジプシー)
約2年ぶりの新作”は沖縄から得たモチーフで、今を描き出す。

瑞々しい感性で「今」という時間を切り取る言葉と、洗練された空間構成、綿密で繊細な演出で様々なジャンルの観客やクリエイターを魅了し続ける演劇作家・藤田貴大。コロナ禍で公演の機会が少なくなる中、発表の形を変化させながら精力的に活動を続けてきました。そんな藤田が『CITY』(2019年5月発表)以降、約2年ぶりに「新作」と位置付ける本作『Light house』。

藤田は2013年、今日マチ子の漫画『cocoon』を原作に沖縄戦に動員される少女たちに着想を得て作品を製作し、発表しました。『cocoon』にて沖縄と出会った藤田は、それ以来頻繁に沖縄へ足を運び、「今」という時間を見つめてきました。『Light house』では、沖縄での自身の体感とリサーチをもとに、現代の沖縄に流れる時間を描きます。

リサーチを重ねて行くなかで、沖縄の島々では生活水を確保するために多くの困難を重ねてきた歴史があることや市内の人々の営みの下には暗渠として水の流れがあることを知り、本作の大きなテーマの一つとなりました。人が無自覚に行う些細な行動が、世界の大きな流れに影響を及ぼす行為になること。それは、波紋のように広がり、いつの間にか浸透していく。その様子を「水の流れ」と結びつけ、舞台を展開させます。

今、新しく生まれる劇場・那覇文化芸術劇場なはーと

本作品は、2021年10月末に新しく那覇市に開館する劇場「那覇文化芸術劇場なはーと」のこけら落としシリーズであり、マームとジプシーとの共同製作作品です。人が一つの場所に集まることが特別になった現代において、「劇場」という「場」の幕開けを、暗闇に向けて光やシグナルを発し続ける「lighthouse=灯台」と形容することから、作品の構想を始めました。

クリエイターが演劇作品「Light house」に出会うこと

本作では現代美術家の小金沢健人が舞台美術のみならず、空間を構成する音や光など作品全体のデザインを担当します。また、植物染色で衣服や空間を制作する橘田優子(kitta)、フィールドレコーディングエンジニア・東岳志、写真家・岡本尚文、装丁家・川名潤など多くのクリエイターが参加します。それぞれが藤田のもとに集まり、共に作業をすることで『Light house』という場に多面的な視点を持たせます。

沖縄での営みをめぐる対談

藤田は本作を取り組むにあたり、今沖縄で営みの場を持つ方々との対談を多く実施しました。頻繁に現地に赴くことが出来なくなったコロナ禍で、対話の機会をオンライン上で持つことをフィールドワークと位置づけ、その時間を大切にしています。これらの時間は藤田に新たなモチーフの“種”を与え、創作をより豊かなものにしています。ぜひ、こちらも合わせてお楽しみください。